Cave de Oyaji

コート・デュ・ローヌの旅(前編)

                                        

                                        

                                             エピローグ

  

パリ・リヨン駅                 TGV

パリ16区の酒屋にて

 

Le Pistou

鴨料理

 

ジャン・マリー・ロワイエ     ジャン・マリー・ロワイエの畑

   

百年もののグルナッシュ       オマージュ    

序章

200432日から一週間、親爺はフランス、ローヌ渓谷にワインを訪ねて旅行して参りました。

今回の日程はジェットの手配から現地滞在先、訪問ドメーヌへのアポイントメントに至るまで複数の友人らの協力を得て実現出来たものです。まず先に彼らへの感謝を述べなければなりません。また、ワインでの共通の友人という立場で甘えた私をお許しください。

パリには午後2時過ぎに到着して市内には4時頃着きました。パリは意外に肌寒かったのを覚えております。

夜はパリに於いて20年以上日本人学校で教職を勤められる石村さんのお招きで夕食会。ワインを数種いただきましたが、バンドール産の1974ルーヴィエールに感心しました。こんなワインをご馳走してくださるなんて!


パリを朝にTGVに乗って早速ローヌはアヴィニョンへ。一路南下ですが、2時間40分の乗車時間でTGVアヴィニョン駅に到着します。プラットフォームからエレベータで下ると現地で待ち合わせている高瀬さんの姿がすぐに目に入り、思わず手を振りました。彼女は現地でワインを日本向けに扱うコーディネーターをしています。いやいや、やっと此処まで無事たどり着いたワイ!ここから先が本当の私のお仕事になる訳で、実はこの日、3箇所ものドメーヌ訪問を予定しているのです。そうは言っても腹がへっては戦も出来ない、とシャトーヌフ・デュ・パプの街並みに入ってお昼を算段しました。


入ったレストランはパプの中心広場の奥にあるル・ピストゥという小さな店。頼んだランチは絶品でした!鴨のもも肉を丸ごと使ったコンフィで柔らかく、味わいが深い日本では味わった事のない料理です。まず此処で南仏に来たことを実感させられたものです。


コート・デュ・ローヌのワイン検証(初日)

レストランで食後のカフェを飲んでいると高瀬さんの所にハンサムな風貌(やだなぁ表現が古い)のフランス人が近寄って挨拶を交わして椅子に座る。彼はこれから訪問するジャン・マリー・ロワイエ本人なんだね。びっくりしました。食事が終わったら自分のジープで畑を案内するといってるみたいです。

ジャン・マリーの四駆でヌフパプの彼の区画を見学しました。彼は生粋のヌフパプ生まれ、無類の好人物で最近ワイン造りに精を出し始めた未だ日本ではその名を知る人の極めて少ないヴィニロンです。彼のワインに興味を持ったのは最近日本のローヌワインファンが格安でヌフパプの80年ものワインを入手できたり、ケランヌの95VTといったマニアックなワインを供給する仕掛人、その張本人だったからです。


ドメーヌ・ジャン・マリー・ロワイエ

彼はヌフパプでの顔の広さから様々なワインをプロデュースしましたが、自分のカーブでも抜かりなくワインを仕込んでいます。彼の畑は父親から相続した樹齢100年のグルナッシュが植えられる箇所初め多くの区画を持ち、シャトーヌフのワインだけで2銘柄、コート・デュ・ローヌ1銘柄を生産します。樹齢100年物のワインは「オマージュ」と冠せられて生産量は非常に少ない。ヌフパプの直売店では70ほどで売られているそうです。グルナッシュ100%のヌフパプで一部新樽を使う手法。素晴らしくグラマラスなボディと表現することがおぼつかない果実溢れるプケはたちまち私を魅了したワインです。

私は即座にこのワイン「オマージュ」に17/20点の評価をくだしました。(パーカーJrのマネではないよ)


ジャン・マリーのワインはこれから日本でも話題になる事でしょう。パーカー氏の評価も参考にしてください。彼のジープでヌフパプの城壁が残る丘の上まで出ましたが、そこに至る間、シャプティエ、ボールナール、クロ・デ・パプの畑や丘の頂上近くにユスリオ兄弟のドメーヌなんかが点在し、ローヌフリークには正に涙が出そうな位のロケーション。丘の頂上は常にミストラルの強風が吹きつけております。

それにしてもパプの畑の奇観は予想を遥かに超えるものでした!石ころごろごろどころの騒ぎではない。直径5cmくらいの白石が畑を覆う姿を皆様はどう思われるでしょうか?


シャトー・ヌフ・デュ・パプ遠景

ボーカステルゲストルーム入り口

ボーカステル内部のフードル(大樽)

ボーカステルのスタッフ

ラングロワ氏と共に

フレジョウ夫妻

熟成中のワインをテイスティング

フードル(大古樽)俯瞰

  

1993 CdR          ケランヌの宿

          Auverge Castel Mireio

シャトー・ド・ボーカステル

ジャン・マリーに別れを告げ、クリュソゾンの地、ボーカステルに赴きました。立派なドメーヌを中心に広大な畑が広がっております。このシャトーを訪れる事が今回の渡仏の主要な目的でもありました。ピエール・ペラン氏は不在でしたが、ボーカステルのワインメーキングで主要な位置にあるファブリス・ラングロワ氏の案内を受けてシェ(貯蔵倉)を見学しました。


この時、私自身少し興奮状態で写真を撮ることも忘れて彼との質疑に熱中してしまったようです。ボーカステルではクードレ、ヌフパプ、オマージュの5銘柄だけの話に終始しました。ネゴシアンワインである「ペラン・レゼルヴ」は問題外のワインなのです。少し話をラングロワ氏とし出すと、私の意図を察知していただけた様子です。テイスティングでもペラン銘柄は無視して13種あるボーカステルで育成した葡萄品種を順にテイスティングしたりしました。


私の質問事項は次の三つに集約されます。

1998年は特異な年だが、このVTを生産者はどう解析するか?

ボーカステル(赤)の味わいの秘密はムルヴェドル種の使用方法にあると思うが如何に?
オマージュ・ア・ジャッキー・ペラン銘柄はどのように決定されるか?


最初の質問には明快な答えが返ってきました。

「98年はグルナッシュが豊作でムルヴェドルを凌駕する品質となった。この年は異例の連続でたいへん貴重なVTである。過去例を見ないほどグルナッシュは完熟した」

2番目の回答も単純でした。「そうです。我々はこの品種に限りない可能性を感じている。樹齢の古いムルヴェドルを栽培することさえ希少なのです。ボーカステルのラベル(ペラン・レゼルヴではないよ。)を付したワインは(赤)全てムルヴェドルの配合に気を使う。

三番目、ヌフパプ銘柄で最も市場価格が高騰するオマージュです。「我々7人(ラングロワ君も含めて)はその年の収穫された畑毎の品種を樽醗酵させたキュベを無作為にテイスティングして評価する。その時評価する者全員がよいとする樽が集約した時にオマージュが検討される。最上の樽を集めてブレンドされるのだ」彼は2001年もリリースされると希望していました。決してペラン氏が独断で製作するワインではない。これを知っただけでも収穫でした。

テイスティングでラングロワ君とヴィンテージで趣向を問われ、ボーカステルのヌフパプでは89と答えました。「うん、私は90が好きだが89はもう飲み頃でしょうね。でも89と90のどちらが好きかでワインの趣向が判るよね」なぞと語りあって盛り上がりました。その場で89ボーカステルを抜栓したりして(^^; これは秘密、とルーサンヌVVの00VTも・・・。

ゲスト・ルームを後にする時、ラングロワ氏が「是非あなたのお店をWeb上で紹介したい。」とおっしゃる。光栄ですが少し面映い気持ちもしました。皆様もご存知でしょうが、Beaucastelは素晴らしいHPを持っているのです。

ラングロワ氏は2002年のニューリリースワインに就いて興味深いコメントを残しました。「この年のヴィンテージ・チャートはローヌ最悪の年と記されるだろうが、ボーカステルではきちんと収穫もし、ワインも醸造を終えた。クードレ(CdR)も含めて自信を持って送り出せます。」もちろんテイスティングも私自身行いましたが、その言葉を裏付ける内容だった事を報告しておきます。

ドメーヌ・ルゥ・フレジョウ

ボーカステルの広大な畑に隣接してドメーヌ・ルゥ・フレジョウの屋敷がありました。家族経営で小さなドメーヌですが、ワインのクオリティは以前私のHPで一文を興して紹介したほどの腕前です。ワインはシャトー・ヌフ・デュ・パプとコート・デュ・ローヌを赤、白それぞれ造る。彼のドメーヌでは最近設備投資を敢行してフードルの貯蔵庫と醗酵用コンクリートタンク、それにホーロー引きの熟成タンクを新設しました。

ルゥ・フレジョウのワインはヌフパプでは余韻の滑らかなフィネス、コート・デュ・ローヌでは優しい味わいのグルナッシュが表現されて本当に南ローヌのワインに於けるスタンダードを感じます。私はこれらローヌワインの製造過程でのエルヴァージュではホーロータンク、新樽を使わないフードルでの仕上げにその秘密が有る、と確信できました。それはこのローヌ紀行を通じて感じた感想でもあります。

ルゥ・フレジョウは本当に気さくな方で(まぁ南ローヌの旦那衆は皆そうでした。)私如きの質問にも丁寧に答えてくれます。テイスティングしたワインは以下の通り

97CNDP、98CNDP、01CR-Villages、01CdR

01CNDP Blanc

バルクより 02CNDP、02CdR

タンクより 01CNDP

01のヌフパプはどうだ?と聞かれたので「貴方が飲ませてくれたワインの中であたしが一番買いたいワインだよ。」と答えました。事実です。「新年度産は鑑賞できるけど貴方のワインって眠りについて3年くらいたたないと美味しくないでしょ?でもそれ位は我慢だよね」と直球発言した所、当主フレジョウは非常に喜んでくれました。「そうなんだよ!若い内はうちのワインって誤解されるようで困る」

彼の97VTのヌフパプには日本でも驚かされましたが、98より01の方が可能性感じるのは一体?これは施設を一新したせいかな。

フレジョウを辞すると空は満天の星月夜でした。遅くなったのでラストーにある高瀬さんの下宿先で軽い食事を取りました。今宵の宿はケランヌ村の小さなホテルです。

コート・デュ・ローヌの旅(中編)に続く

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